同じ材料でも、乳の発酵度を変えることで、微妙に異なる味を出しているのです。
これこそが乳の技術であり文化なのだ、と実感したことを明瞭に記憶しています。
またモンゴルの遊牧民は、乳から作ったクズミという酒を飲みます。
これはウマの乳でできています。
世界中で栽培されているコメのうち、そのほとんどが高温多湿なモンスーン・アジアで作られています。
これはコメが、ムギ以上に水分を必要とするためです。
しかもコメを発酵させたもので、夏の飲み物です。
カルピスのような味で、アルコール度数はあまり高くありませんが、馬乳酒と呼ばれています。
このほかにもモンゴルには、蒸留してアルコール度数の高い妨酒という乳酒があり、中央アジアの遊牧民も、ウシやヤギ・ヒツジの乳を発酵させたケフィァという酒を飲んでいます。
こうして遊牧民たちは、日常的に乳製品を最もよく利用し、ときには肉を食べるほか、菓子や酒といった噌好品にも、乳を利用しています。
まさに独自の乳酸発酵技術を、自在に駆使して、自らの生業を基礎とした味覚体系を創り上げてきたのです。
そして農耕民との交流によって得たコムギ粉などの農産物も併用してきました。
かなりデリケートな植物で、温度や湿度にかなり敏感なため、水田という人工装置が最も理想的とされるのです。
先にも述べたように、アジアのコメには、インディカ種とジャポ二カ種がありますが、後者は温帯ジャポーカと熱帯ジャポーカに分かれます。
熱帯ジャポニカは、ジャバーカとも呼ばれ耐白干性にすぐれています。
しかし、私たちが好んで食べている温帯ジャポニカは、とりわけ水分を必要としますから、とくに日本では水田という装置が不可欠となるのです。
ところがインディカ種や熱帯ジャポニカは、焼畑でも栽培が可能です。
二○○三年の秋に、Sさんの案内で、ラオスの焼畑地帯を回りましたが、タイ北部からラオス一帯では、山の斜面の焼畑で、さまざまな種類のコメを作っていました。
熱帯ジャポーカのなかでも、一○種類ほどの品種を育てていましたが、これは、どのような気象条件であっても、確実に何種類かは収穫できるようにするためです。
すしの起源は東南アジアこればかり見ていると、水が無くてもコメが育つように錯覚しますが、大地には雨季にたっぷりと貯えた水が吸いこまれています。
また焼畑ばかりではなく、谷底の低地部には水田があり、ここでもコメを作っていました。
そして周囲の山々からは、水がしみ出しますから、いくつかの沼があり、谷底には小川があります。
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